ABASaCでは,1回2時間,週に2回以上のホームセラピー実施を基本としています。
それに加えて,コンサルタントがセラピーに同行し,直接にお子様とセラピストやご家族とのやりとりを観察し,相談をし合いながらよりよいかかわりを考えていく「コンサルタント同行セラピー」を実施します。
※ホームセラピーのお申し込みが多く,空きをお待ち頂いているご家族が多くなってきているため,お子様の成長具合によっては,ホームセラピー継続期間を最長2年とする場合があります。
ご自宅等において,介入計画(IEP)に基づき,お子様とご家族,行動セラピストの3者が集い,
①不足しているスキルの獲得と
②問題行動の減弱を目指した介入を行ないます。
ご家族の生活スタイルや願い,お子様の特性等に合わせながら,学習目標とするスキルを決めていきます。共通する目標は「今よりも生活の質(QOL)を高めること」です。
領 域 |
スキルの具体例(一部) |
模倣 | 相手を見て真似する(粗大運動,微細運動,言語など) |
言語 | 自分から発する言語,聞いて理解する言語 |
認知 | 視覚的に系統立てて物事を捉え処理する |
記憶 | 視覚的・聴覚的に少し前の物事を記憶し再生する |
遊び | おもちゃを適切に使って遊ぶ,大人や子どもとの関わり遊び,ごっこ遊び |
社会 | ルールを守る,順番を守る,効果的な会話の開始,相手へのうなづきなど |
学習 | 工作,絵画,読み,書き,計算など |
自助 | 基本的生活習慣スキル(食事,排泄,身だしなみ,片付け,着替えなど) |
外出 | 交通ルール,公共交通機関の利用,お買い物,公園やテーマパークの利用 |
おおよそ1.5歳~5歳までお子様の場合,特にABAによる具体的な介入方法として系統立った研究が行なわれている以下の方法を取り入れながらセラピーを行ないます。
いずれの方法においても目標とするところは同じです。「不足しているスキルの獲得」と「そのスキルの般化(日常生活で違った対象に対して同じようにスキルを使うこと,同じ対象に対して別の方法で対応すること)」です。そのために,それぞれのクライエントに合わせて,より学習効率のよい学習環境を個別に設定します。
●機会利用型指導法
●ピボタル・レスポンス・ティーチング(PRT; 機軸行動発達支援法)
●ディスクリート・トライアル・ティーチング(DTT; 不連続試行法)
セラピストによるホームセラピーだけではスキルの獲得や流暢な活用,そして応用的活用はなかなか進みません。毎日の多くの時間を一緒に過ごすご家族や担任先生方と協同した,継続的で一貫した関わりがとても大切です。
かといって,今日の日本の療育資源や家族システムでは,ご家族による毎日4~8時間,週に20~40時間の高密度介入を続けることも現実的ではありませんし,おそらくいつかの時点で挫折してしまうでしょう。
「毎週20時間確保しなくては」と強迫的に囚われてしまわなくても,朝起きて,最初の活動である挨拶やお着替え,トイレにはじまって,一緒にご飯を食べたり,外出したり,おもちゃで遊んだり,絵本を読んだり,夕方にはお風呂に入ったり,テレビを観たり,お父さんと遊んだりと,毎日必ず行なう活動・日課の中に,効果的にスキルを獲得するための機会をいくつも設けることができます。
私たちは,ご家族の生活スタイルやご希望に合わせて,ご家族が楽しく継続して取り組みやすい「日常的なセラピー」「無理のないセラピー」「楽しいセラピー」「応用力のあるセラピー」のアイディアを提案します。
ただし,それぞれのお子様の発達具合,行動特徴,刺激の受け取りと反応の仕方などによっては,余計な刺激を取り除いた,より学習しやすい環境を作った上での介入が毎日一定時間必要な場合もあります。
大切なことは,「こうしなければならない」というマニュアルではなく,それぞれのお子様,家庭環境,目標に応じた「オーダーメイド」な関わりを考えて実行することです。