ホームセラピー


ABASaCでは,1回2時間,週に2〜3回以上のホームセラピー提供を基本としています。

それに加えて,適宜コンサルタントがホームセラピーに同行し,直接にお子様とセラピストやご家族とのやりとりを観察し,相談をし合いながらよりよいかかわりを考えていくコンサルタント同行セラピーを行います。スケジュールの調整が難しい場合,オンライン (ZOOM等) によるコンサルタント同行セラピーも実施いたします。

 

ホームセラピーのお申し込みが多く,空きをお待ち頂いているご家族が多くなってきているため,お子様の成長具合によっては,ホームセラピー継続期間を最長2年とする場合があります。


不足しているスキルの獲得

アセスメントと介入プランに基づき,セラピストが主となってお子様のスキル形成を促します。教材を含めたどのような環境設定や指示,プロンプトによってスキルが形成されるのかを適宜チェックしながらセラピーを進めていきます。ご家族にもセラピーに参加していただき,より効果的な指示やプロンプト (ヒント) の出し方,フィードバックの仕方などを共有していきます。

 


PBSに基づいた多過ぎて困る行動の減弱

 

多過ぎて困る行動の減弱が目的の場合は,積極的行動支援 (Positive Behavioral Support: PBS) に基づいた機能分析と代替行動の形成,多過ぎて困る行動の減弱を系統的に行っていきます。介入の前・中・後,全てのフェイズにおいて,行動の記録を取り,介入の効果があるのかを検証します。

 

罰の使用に関して,ABASaCでは,体罰の使用に反対する声明に賛同しています。


応用力を目指して,系統立った方法で

1歳~5歳までお子様の場合,特にABAによる具体的な介入方法として系統立った研究が行なわれている以下の方法を取り入れながらセラピーを行ないます。

いずれの方法においても目標とするところは同じです。

①不足しているスキルの獲得と②そのスキルの般化(日常生活で違った対象に対して同じようにスキルを使うこと,同じ対象に対して別の方法で対応すること)です。

そのために,それぞれのお子様とご家族に合わせて,より学習効率のよい学習環境を個別に設定します。 

  • 機会利用型指導法 
  • ピボタル・レスポンス・ティーチング(PRT; 機軸行動発達支援法)
  • ディスクリート・トライアル・ティーチング(DTT; 不連続試行法) 

ご家族も毎日の生活の中で楽しく実施

セラピストによるホームセラピーだけではスキルの獲得や流暢な活用,そして日常での応用は進みません。毎日の多くの時間を一緒に過ごすご家族や先生方と協同した,継続的で一貫した関わりがとても大切なのです。

 

かといって,今日の日本の療育資源や家族システムでは,ご家族による毎日4〜8時間,週に20〜40時間の高密度介入を続けることも現実的ではありませんし,おそらくいつかの時点で挫折してしまうでしょう。

 

「毎週20時間確保しなくては」と強迫的に考えなくても,朝起きて,最初の活動である挨拶やお着替え,トイレにはじまって,一緒にご飯を食べたり,外出したり,おもちゃで遊んだり,絵本を読んだり,夕方にはお風呂に入ったり,テレビを観たり,お父さんと遊んだりと,毎日必ず行なう活動・日課の中に,効果的にスキルを獲得するための機会をいくつも設けることができます。

 

私たちは,ご家族の生活スタイルやご希望に合わせて,ご家族が楽しく継続して取り組みやすい「日常的なセラピー」「無理のないセラピー」「楽しいセラピー」「応用力のあるセラピー」のアイディアを提案します。

 

ただし,それぞれのお子様の発達具合,行動特徴,刺激の受け取りと反応の仕方などによっては,余計な刺激を取り除いた,より学習しやすい環境を作った上での介入が毎日一定時間必要な場合もあります。

 

大切なことは,「こうしなければならない」というマニュアルではなく,それぞれのお子様,家庭環境,目標に応じた「オーダーメイド」な関わりを考えて実行することです。